ブスとババアと故事と梅雨入り

傘をさしながら自転車に乗る。

雨をしのぎながら速い移動を実現するという非常に欲張りな行為だと僕は思う。

欲張りの前に確かに合理的だとは思う。
傘をさしながら自転車に乗れるわけだからそりゃそうするだろう。

しかし何かしらのリスクというかダメージがないわけではない。だって、傘をさしながら自転車に乗るわけだから。

合理的とノーダメージは別である。
要はバランスの問題なのだ。

最小限のダメージで合理的結果を考えるゲーム理論、最近ではより現実的な不合理を取り入れた行動心理学なんてものもある。

ちなみに僕は誰もが敬遠するようなリスクマネジメントと保険というゼミを専攻をしていた変態だ。
ちなみにここでいうリスクというのは「ブレ」を意味するものであるが、悪い影響=リスクみたいに思われがちである。想定からのブレをコントロールするのがリスクマネジメントなのである。それをカバーするのが保険なのである。

いまいちわからないという方の為に例を出させて頂くと、ゴルフのホールインワン保険というものがある。
ホールインワンやアルバトロスを達成した時、幸運を分かち合うという意味で祝賀会を開いたり、キャディーにチップを渡したりするのが慣習であるわけだが、その出費をカバーするのがホールインワン保険だ。
本来イーブンで回るようなところを想定外のホールインワンやアルバトロスで回ることはスコアの上では喜ばしいことにも関わらず、経営学的には予定にない出費を伴うことからリスクとして捉え、またそのリスクをカバーする保険が作られているのである。

ただでさえ予期できない事故が多い自転車運転を、ましてや傘をさして運転しようものならブレブレのリスクだらけになることは容易に想像がつく。事故した時のダメージも計り知れない。
なのに、傘をさして自転車にのる。雨に濡れずに速く移動するには合理的なのだから。
しかし冷静に考えてみると、自転車保険に入っていてもこの状態で事故を起こした場合、多分保険は下りないだろう。限りなくブレブレの状態を自ら発生させたわけだから保険会社は払わないのが当然だと思う。

となると
急がば回れ、が正解なのだ。

雨の降る中、そんなことを考えていると自転車のブレーキ音とともに、生まれて初めて肛門に異物を入れられたかのような「ぬわぁ~!」という叫び声が聞こえたと同時にガチャーン。

僕の向かう少し先で、ふんわり巻き髪の昨日セックスしましたみたいなブスとスーパーの鮮魚売場前でクレームをつけてそうなババアが自転車同士で衝突したようだ。
双方のカラフルな傘が道に転がっている。

傘をさしながら自転車に乗っていたのだろう。欲をかくからこんなことになるのだ。嘉門達夫チェッカーズの名曲を替え歌にして歌ってたよ。「キャンドル、ハンドル、サドルにペダルに自転車こいどる。」って。
まぁ今回の件にまったく関係ないけど。

傘をさして自転車に乗る様を例えるならば、二兎を追う者一兎をも得ず。虻蜂取らず。花も折らず実も取らず。右手に円を描き左手に方を描く。欲張って糞垂れる。といったところだろうか。

やはり急がば回れなのだ。

衝突について罵り合っている二人を横目に、傘もささずに徒歩でずぶ濡れの僕は漁夫の利といったところか。

両雄並び立たず、僕の股間もまったく勃たず。

梅雨入りは近そうだ。