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行き場を失ったメリークリスマス

今年もまたクリスマスがやってくる。

逆算するかのように、今の時期は特に週末はかなりの数のコンパ集団を見かける。

金は無いけど365日オフみたいな僕には理解できない風潮であるが、コンパは金曜や土曜みたいな世間の大半の人が休日となるその前日に行われることが多い。

僕は翌日がバイトであっても終電まで良い感じの酩酊まで飲むことが多い。酒臭さで翌日は6時過ぎに起床するわけであるが飲んでなくても6時前に目を覚ますことを鑑みると単なる老化からくる眠りの浅さだろう。先日は21時半に床についたところ、3時前に目を覚ましてしまい結局5時までエロサイトを真面目な顔をしながら見ていた。

余談はさておき、帰宅することを前提に考えれば別に翌日仕事でも問題なくなくなくなくないSAY,YEAH!
休前日に開催多数ということは裏を返せばまぁ男も女もあわよくばしけこもうという魂胆がミエミエですわ。ズッ魂バッ魂ですわ。

もう死ぬまでコンパに呼ばれることもセ○クスすることも新規の女性と知り合うこともお喋りすることもない僕の気持ちを、BIGMAN前で待ち合わせている男女にはよく考えて頂きたい。

金曜または土曜の19時前後に待ち合わせの予定もないのにBIGMAN前で、
「みんなおっせーなー。」とかブツブツ言いながらソワソワしている貧乏そうな童貞愁が半端ないメガネでデブで天パのスーツ姿がいたら僕だと決めつけて頂いて結構だ。
そんな僕を見かけたら
「始発駅はお嫌いですか?」
とお声掛け頂きたい。

今月のバイト代も色々と差し引くと先月ほどではないにしろほとんど残らず、リアルに、初めてのアコムが頭を過る状況である僕は
「あ、人違いだと思います。」
と泣く泣く対応するハメになるであろう。死ぬまでハメることもないのに。ハメるとかハメないとか僕は下ネタが嫌いです。

今年の日回りを確認すると
クリスマスイヴイヴは23金祝
イヴは24土
当日は25日
彼女または彼氏を見つけてクリスマスにクリします的な決戦まで残された週末はあと3回しかない。

具体的には3セット9日。
12月
 2、3、4日
 9、10、11日
 16、17、18日

ここでシミュレーションしてみよう。

・最短コース
12/2金 コンパで出会う。
12/3土 ルミナリエに誘う。
12/4日 M-1を一緒に見る。コクる。

・オーソドックスコース
12/2金-3土  コンパで出会う。
12/9金-11日 ルミナリエに誘う。
12/16金-18日 M-1の録画を一緒に見る。コクる。

・ギリギリコース
12/9金-10土 コンパで出会う。
12/11日    ルミナリエに誘う。
12/16金-18日 M-1の録画を一緒に見る。コクる。

・残り福コース
12/16金 コンパで出会う。
12/17土 大阪南港イルミネーションに誘う。
12/18日 M-1の録画を一緒に見る。コクる。

・欲張りコース
12/2金  コンパで出会う。
12/3土  ルミナリエに誘う。
12/4日  M-1を一緒に見る。コクる。
12/9金  別れる。新規とコンパで出会う。
12/10土 ルミナリエに誘う。
12/11日 M-1の録画を一緒に見る。コクる。
12/16金 別れる。更なる新規とコンパで出会う。
12/17土 大阪南港イルミネーションに誘う。
12/18日 M-1の録画を一緒に見る。コクる。

・90分17,000円コース
12/2金-4日  脇目もふらず馬車馬のようにバイトに明け暮れる。
12/9金-11日 自家発電禁止の誓いを立てて一心不乱にバイトに明け暮れる。
12/16金-18日 自家発電禁止の誓いを破りそうになりながらも歯を食いしばってバイトに明け暮れる。
12/19月-22木 ドリームショットに最新の注意を払いつつ、ネットのクチコミを入念に調べ上げ優良店を探す。
12/23金祝  イヴに備えてバイトを休み、念仏を唱えながら心を落ち着け、明日の予約を入れる。
12/24土   ダブルヘッダーも辞さない意気込みを押さえ込みながら嬢の到着を待つ。
  「ほとばしるpatient drops封鎖できません。事件は会議室で起きてるんじゃない、下半身が勃きてんだっ!!」などと、独り芝居をやりながら待つのも悪くない。
まもなく嬢の到着が近づき、歯磨きをしながらオプション料金の確認と丹念に調べ上げて選抜した嬢の写真を再確認しながら気分を盛り上げる。

   ”ピンポーン”

逸る気持ちを隠すかのように
「あれ?Amazonで何か買ったっけ?」
と、まるでデリヘルなんか呼んでないような素振りで独り言を呟く。

いつもよりワントーン下げた声で
「今開けます。」
紳士的に振る舞いながらも下半身はgoogleアースの衛星写真に映りこんでもおかしくないぐらいいきり立っている。

モニターフォンに映る嬢の顔は先ほど頭に焼き付けた嬢と少し違う気がするが、まぁ解像度の低いモニターフォンだから当然だよね、なんてプラス思考が過剰なまでに働く。
  
ガチャ

「こんばんわ~。」

酒やけなのかしゃがれた声がフロアに響く。
アサヒペンの油性スーパーペンキの白色のようなファンデーション。
毛虫の方がマシに思えるつけまつ毛。
きっとIT系の若手社長ってこれぐらい上昇志向なんだろうと考えてしまうぐらい上を向いた鼻。
こんなに上を向いていると坂本九でも歌に出来ないと思う。
僕の肛門の方がしまりがあると確信できるようなゆるんだ口元。
シャネルの5番ならぬシネルの94番ぐらいと名付けたい得体の知れないニオイ。
岩ノリを金色にしたような頭髪。

彼女は決して悪くない。悪いのは僕だ。イヴに期待しすぎた僕が悪い。
信じる心を失った人間の下にはサンタクロースは来ないのだ。

キラキラと目を輝かしながらサンタクロースを信じ、サンタに会いたいと寝ずに頑張っていた時期が僕にもあったはずだ。

それがどうだろう。

いつの頃からか穿ったような目で世の中を見るようになり、人のことを信じなくなった。
なのにクチコミを元に優良店を探すなんて、あまりにも矛盾した行動に自分自身が情けなくなる。

サンタクロースはいないし、優良店も存在しない。

僕がそう考えてさえいれば、やってくる嬢に過度な期待をすることもなく、そして事実やって来たこの目の前にいるキャラの大渋滞した嬢を受け入れることができたかもしれない。

やはり彼女は悪くない。

君の名は。?」
社会人ならば当然最初に聞くべきであろうこの一言すら発することもできず、過度の期待から奈落の底に落とされた今の状況を整理できない僕がひとえに悪いのだ。

他の部屋からは蛙の合唱のようにあえぎ声がゲロゲロゲロクワックワックワ状態だ。あえぎ声があえぎ声を追い抜いていく阿鼻叫喚のクリスマスイヴ仕様。

なかなか部屋にいれない僕を怪訝そうに見つめる嬢。

「・・・チェンジで。」

彼女にすら聞こえるか聞こえないかの消え入りそうな声で伝えるのがせめてもの僕の良心である。

多分本日3回目ぐらいのチェンジを食らっているのだろう。
哀しそうな目で僕を見ながら扉を閉める嬢。彼女にもサンタクロースは来なかったわけだ。

行き場を失った
「メリークリスマス」

あえぎ声の輪唱が響き渡る部屋で独り呟く。