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大阪 天満 扇町 立ち飲み 安い 絆や

この記事は別のサイトにて書いた内容を幾分リライトしたものになりますが、ただ単に好きな居酒屋の宣伝に過ぎず、ご期待のおっぱいや3代目ジェイソールブラザーズの岩田くんは一切出てこないことを先に申し上げておきます。


扇町酒場 絆や

1年2ヶ月前に大阪天満の扇町にオープンした
立ち飲み居酒屋「絆や」。安い!


偶然立ち寄ったにも関わらず、あまりの居心地の良さにファンとなり、店主の気さくさと肴の腕前に魅了され、なんやかんやで愛しのスポットになった。旨い!

常連さんが多い様子であるが、一見でも尻込みせずに入れる雰囲気。店主の人柄がそうさせるのであろう。立ち飲み!

そんな「絆や」が1周年を迎えるということで僕にも何か出来ることはないかと足りない頭で考えたところ、食べログでお店の魅力を伝えれば良いことに気づいた。お店の繁盛が店主にとっても我々客にとっても一番である。繁盛し過ぎて入れなくなってもその時はその時。立ち飲み!旨い!安い!絆や!

ということで早速熱い思いをしたためた文章の作成に取り掛かった。そして熱しやすく冷めやすいO型特有のほとんど放置のまま気付けばちょうど1周年を迎える日に急いで文章を完成。途中で面倒くさくなって雑な仕上がりとなるO型特有の状態で完成。そしてほとんどアクセスしたことのない食べログの、しかも初めての無料登録に挑戦。


何とか会員権を得ていざ口コミを投稿。場合によっては反映まで2時間ほどかかることがありますの注意書き。ふーん、そんなこともあるのか。

確かに投稿してもすぐに反映されない。


6時間半の睡眠を経て朝を迎える。

反映されていない。


なるほどなるほど、ちょっと文字数が多すぎたかな。うんうんわかるよ、6,200文字は多すぎだよね。立ち飲みの口コミに6,200文字はちょっと異常だよね。

15,000文字まで可能って書いてあるがな。
原稿用紙37.5枚までOKなクレイジーな口コミサイトに弾かれるほど僕の口コミはクレイジーなのだろうか。

大阪

天満

扇町

飲み

安い

旨い

ポテサラ

絆や

キリンビールバカ

おっぱい

3代目ジェイソールブラザーズ

岩田

ついでにEXILEのメンディー

みたいな感じの検索で奇跡的にこのサイトに辿り着いた人のために

扇町酒場 絆や

の口コミをここに記そう。


「ここから先・・・どうする?」


あれは小学校5年生の夏休みだっただろうか。

毎日が休みという高揚感と高学年特有の背伸びしたい気持ちが入り混じりながら、親友とともに自転車を走らせていた。

いつもは歩いて登校する通学路を駆け抜け、いつもは禁止されている通学路外の道を走り、そしていつもは騒々しいはずの学校は門が閉ざされ静寂を奏でている。


ドラクエで勇者として魔王を倒すようなゲームの世界での非日常ではなく、日常過ごしている場所だからこそ際立つリアリティーある非日常。

自らの名前をつけた画面に投影された自分ではなく、今まさに自分自身が肌で感じる非日常。

僕は生まれて初めての不思議な感覚に包まれながら、なんだか今日は僕にとって初めての一日になりそうだと予感していると視界の端で親友も同じように予感しているようだった。

そしてお互いに顔を見合わせ力強く自転車を走らせた。


言葉は交わさなくとも目指す所はわかっていた。

それは僕たちが住んでいたエリアから学校を挟んで真逆のエリア。


同じ校区なんだけれどそこは富裕層が多い地域で、僕たちみたいな平凡な家のやつらが気安く立寄ってはいけないことを本能的に悟っていた。

富裕層チームとは学校内では喋ったり遊んだりしていたものの、富裕層特有の塾やお習い事で忙しく放課後に遊ぶことはなかったのだ。

夏休みといえどもそいつらは塾や旅行で誰もいるはずもなく、灼熱の太陽がジリジリと濃緑を焦がす音が聞こえそうなぐらい地域全体が静まり返っていた。

僕たち平凡エリアでは考えられない光景に真夏の真昼間だというのに非日常の恐怖で押し潰されそうになり、親友とともに知らない道を全力でペダルを漕いだ。


それが自分たちのエリアから遠ざかっていることに気付かないぐらい必死で漕ぎ続け、気付けばセミの合唱が響き渡る大きな公園に辿りついていた。

そしてどちらともなく先ほどの恐怖を振り払うかのように大きな声を搾り出す。


「ジュースでも買って休憩しよう!」


炎天下の中をひたすら自転車で徘徊し、馴染みのないエリアでの恐怖。

尋常ではない喉の渇きは当然であり、気付くのが遅すぎたぐらいだ。


財布を取り出しマジックテープのベリベリ音でセミが逃げ出す。中身は180円の小銭のみ。

ちょっとオシャレな親友はマジックテープは卒業し、がま口財布だ。

といっても親友もほぼ同じ所持金でお互いジュースの銘柄選びに失敗は許されない状況であった。

公園の片隅には見たこともない種類の自動販売機。

一番手が当たりそうなところには

「???」と朱色で手書きの安っぽい紙が巻かれたミステリー缶。

小学5年生でも容易に想像できる自販機オーナーのせこさ、あざとさ。

きっとジャガイモをふかしてすり潰したような顔をしているのだろう。


ミステリー缶の中身はもちろんわからないわけだが、

その自販機は奇跡的に全銘柄知らないものばかりで、なんなら同じ銘柄が3つぐらいあったりもする。

これが将棋ならば僕が羽生善治さんクラスの実績を持つ名棋士であったとしても

連盟を永久追放されるんじゃないかと思うぐらいの長考。

しかし決めとなる一手を指せずに返却レバーをガチャして小銭を取り返す。

危うくミステリーに触れそうになりながら。


喉の渇きと戦いながら、親友も買う気になるような銘柄がなかったようで

小銭を入れることすらせずに投了。

かといって他に自動販売機が見当たらない。


僕たちが富裕層ならば迷わずミステリー缶を購入していただろう。

しかしお互いに1本ずつしか買えない背水の陣。

窮鼠猫を噛む、イタチの最後っ屁、小学5年生の小銭。

ギリギリまで耐え忍び、最後の力を振り絞って逆転にかけたい。


今思えば僕の180円と親友の180円を足せば360円となり

当時はまだ缶ジュースが100円~110円の時代だったので3本買えたと今となっては思うけど

小学5年生でお金を融通し合うなどという高尚な発想は出てくるはずもなく

もしその発想に到達できるような小学生ならば今こんな大人になっているはずもなく

三つ子の魂百まで、小5の頭脳今まで。


そろそろ両者とも唇がカサカサになり汗も出なくなり始め

プルプルの潤いとアホさが売りの小学生から潤いがなくなり

いよいよアホさだけになろうとしていたところで

当時視力2.0の僕の目に信じられないものが見えた。


それはゆらゆらと陽炎漂う遠く離れた道路の向こうで同じくゆらゆらと揺れる

「氷」と書かれた暖簾。


脱水症状から現れる幻覚かと思いきや、視力3.0を豪語する親友にも見えたらしい。

急いで自転車にまたがりイタチの最後っ屁のごとく、屁を垂れ流しながら全力で駆け出した。

思いの外距離がある。漕いでも漕いでも暖簾は遠い。追いかけて追いかけても掴めないモノばかりさ。チャゲアスが頭をよぎる。漕ぎまくってようやく近づく暖簾。

誰がどう見ても営業中の駄菓子屋の暖簾。

ようやく確信できた。僕たちの勝利だ。


暖簾だけを見つめて進んできたけど、余裕が生まれて気付いてみるとそこは大通り沿いで自分達の学区ギリギリのところまで来ていたのだった。

見上げれば入道雲が空一杯に広がり、よもすれば遠くの方は真っ黒い雲が立ち込め暗い空に覆われ始めていた。

自分達のテリトリーならば夕立に備えるところであるが、土地勘のない場所でましてや潤いが奪われたアホさだけが残る小学5年生。それは無理な話だ。

あの横断歩道を渡って安全安心信頼のブランドジュースを飲むこと以外に選択肢はない。

ジャガイモをふかしてすり潰したような顔のオーナーが設置したであろう

訳のわからない銘柄の自販機とミステリー缶のトラップを潜り抜け

今まさに僕たちは安全安心信頼のライフガードに辿り着こうとしている。スイートキッスもまだなチェリ男のくせに。


信号はあいにくの赤。まぁ良い、すんなりと辿りつくのも味気ない。

あとは6メートルほどのウイニングランを残すのみ。

誰しもがもう僕たちの勝利を信じて止まない状況。将棋でいうなら王手飛車取り。富裕層でいうなら俺が跡取り。


当時の僕には片思いの相手がいた。亜紀子ちゃんだ。

足が速くて頭も良くて利発という言葉がぴったり当てはまる子だった。

だけど親友の事が好きだった亜紀子ちゃん。

富裕層の跡取り状態の今なら言える。

「さぁ僕のお嫁さんになってくれ!」

亜紀子ちゃんの答えはSAYYES。

チャゲアスが頭をよぎる。

信号待ちでニヤニヤと妄想に浸る僕。

バージンロードを歩く亜紀子ちゃん。妄想が止まらない。


「ちょっとまったー!」

おいおいおい、そんなくだりは必要ない。

速やかに愛を誓って口づけを交わすんだよ。亜紀子の人生を守る前に、そうライフガードの前にスイートキッスだ。僕もいよいよ脱チェリ男か。ライフガードもスイートキッスもチェリオのヒット銘柄なんだけど。まぁそんなことはどうでもよくて、

愛を語るよりぃ~くぅちぃず~けをかわそぉ~

永遠(とわ)に戻らないこの時間(とき)の中~

WANDSが止まらない。


世界中の誰よりきっと

君を愛し続けることを誓いま「ちょっと待った!」」


おいおい親友よ、悪いが亜紀子ちゃんは跡取りである俺のお嫁さんだ。

いくらお前でも止められない。ミニ四駆を無尽蔵に買える跡取り。がま口財布のお前とは次元が違うんだ。大丈夫、亜紀子ちゃんは俺が幸せにする。お前とも一生親友だ。跡取りの俺に任せれば良いんだ。てか俺の妄想に入ってくるんじゃない!


「待って、大ちゃん!この道路の向こう、別の学区だ。」


「え?あっ、え?別の亜紀子ちゃん?ん?別の学区?」


「亜紀子ちゃん?あいつがどうしたん?この道路の向こうはうちの校区じゃなく隣の学区。」


おい佐々木よ。いつの間に俺のお嫁さんをあいつと呼べるような仲になったんだ?てかそもそもファックだか学区だか知らないけど、お前はいつも真面目な優等生だった。運動がそれなりにできてビジュアルも男前だ。V6にいてもおかしくない。坂本くんと岡田くんを足してちょっと坂本くんに寄せた感じ。ほとんど隙がないお前が俺の親友だというのが信じられないが、なぜか不思議と気があっていつも一緒に遊んでいた。

今日だってそうだ。お互い言葉は交わさなくとも意志が通じあって冒険を繰り広げてきた。そういつもお前は最高のパートナーであり親友だ。俺にはもったいないぐらいの。

だからこそ聞かせてもらおう。言わんとしていることは想像できたが敢えて聞かせてもらおう。


「うん、隣の学区やね。どうかした?」


「ここから先・・・どうする?」


佐々木よ、6メートルの横断歩道を渡ればそこにはオアシスがある。俺が跡取り状態だ。もう汗すら出ないギリギリの渇きの中で僕たちは死ぬか生きるかの瀬戸際を今まさに迎えている。入道雲がモクモクと立ち込めて夏の炎天下のピーク。

この状況下において冷静さを失わないお前はやっぱり大したもんだよ。野坂昭如に突如殴りかかった大島渚には見習って欲しいもんだよ。

そして俺は所詮大島渚だよ。


「そんなの無視して行くに決まってるやろ!佐々木、行かへんのか?」


「うーん・・・」


あれから25年が経過して僕は立派な中年になっていた。


「今日はちょっと別ルートで天満界隈探索しませんか?」


「俺もそう思っててん。」


夏という季節はなぜいつも男たちを冒険に向かわせるのか。


KIRINビールをこよなく愛し、コンビニで調達したKIRINビールを握りしめながら安くて冷えたKIRINビールの店をひたすら探すという変態染みた行動を会社のセンパイと連日こなしていたちょうど1年前の天神祭の頃。


「こんな道初めて通るけど、あかん、どこもかしこもA社かS社や。KIRINの姿が見当たらへん。全店取り締まりが必要やな。」


3本目のロング缶を飲みながらセンパイが呟く。


「とりあえず安牌の店でノド潤しますか。」


ロング缶を3本も飲んでおいて潤すも何もあったもんじゃないが、とにかく瓶のクラシックラガーを飲みたくて安牌の店に向かう。


「しかし今日は閉まってるお店多いですね。」


「そーいえば水曜にこのへん来ることないもんな。あーノド渇いた。」


いつもと違うルートから来て普段とは違う様相の商店街。非日常のあの日が頭をよぎる。

何だか今日はすごい日になるかもしれない。何とも言い表せない感覚に襲われノドの渇きが増してくる。


「そこ曲がったらすぐですね。」


ほんの少し早足になりながら左手に曲がると、シャッターが下ろされ静寂を奏でているお店がそこにはあった。


センパイと顔を見合わす。


言葉は交わさなくとも目指す所がわかった。

完全なる新店の開拓だ。もちろん何が何でもKIRINの店だ。


今来た道にはもうない。そもそも男たるもの来た道を戻ることなどありえない。

「あぁモドリそう、モドルモドル!」などと言ったことがあるだろうか?イクイク!イクしかないのである。


とりあえずあてもなく歩を進めることとした。

進めど進めど静寂に包まれるシャッター街。たまに開いていてもA社かS社。

「そんな訳のわからん銘柄飲めるかい!」まるであの日の自動販売機状態だ。

ノドの渇きが中年二人を襲う。


当時2.0だった視力は今では眼鏡をかけてこそ1.5あるものの裸眼では0.1となり、好きだった亜紀子ちゃんは風の噂でエリートの嫁になったと聞いた。


いよいよ意識が遠のき始めた頃にあの日の記憶が鮮明に甦ってきた。


ノドが渇いた、遠く、氷、暖簾

・・・そうだ!


「大通り!」


汗だくの中年二人で大通りに出てみる。タクシーが走るだけの大通り。

1.5に落ちた強制視力をこらす。何も見えない。

すると視力3.0のセンパイが叫んだ。


「提灯や!多分KIRINやであの店!」


指差すそこは大通りのしかも大交差点のしかももうちょい向こう側。僕には手前の店の明かりがやっとで、暖簾ではなく提灯が見えるという隣の店は言われて辛うじてわかるレベル。白い提灯なんて言われてもよくわからない。


脱水症状による幻覚を見るなんてセンパイもいよいよだな、と思いながら交差点のギリギリまで近づいてみる。

白提灯はわかる。しかしKIRINかどうかはわからない。センパイ死ぬんだな。そう思った。


今我々はコンビニの前にいる。確実にKIRINがある。

この交差点の向こう側は初めてのエリアだ。てかそもそも飲み屋なんてあるのだろうか。ひょっとして全てが幻覚なんじゃないだろうか。

我々が足を踏み入れると千と千尋の神隠しではないが、デブとブタの金隠し的なジブリワールドが始まるんじゃないだろうか。

カオナシが現れてユバーバ的などうたらこうたらとハクとかいううんたらかんたらがどうこうしてなんちゃらかんちゃらみたいな展開になるに違いない。俺の股間がトトロしてラピュタしてしまう。風の谷のナウシカよろしくズボンを脱いで帰るしか。


今思うと冷静な思考ができていなかったことに気付くがその時は本当に

「ダメだ、ここから先は渡っちゃダメだ。」と考えていた。


そしてセンパイに向かってこんなフレーズを口走っていた。

「ここから先・・・どうします?」


タイムマシーンがあれば真っ先にそこに戻って自分を殴ってやりたい。

そしてさらにそこから25年前に戻って佐々木に謝りたい。


「やはり俺は大島渚だ。野坂昭如になれなかった。」と。


戦場のメリークリスマス火垂るの墓、奇しくもともに戦争を描いた作品だ。

その原作者二人が壇上で戦争開始。そりゃ節子のウンチもビチビチになるわけだ。


センパイが口を開く。

「間違いなくKIRINや、イクで。」


マイクで殴られたような気がした。


ある意味この人も大島渚なんだと確信した。野坂昭如は此処にはいない。


あの日横断歩道を渡らずに激しい夕立の中を急いで帰った佐々木。今はどこで何をしているのだろう。


そんなことを考えながら店の前に辿り着く。

店の名前は「絆や」。

今でこそ儲けに儲けて白い暖簾があるが、当時は提灯と唐揚げのノボリだけだった。

センパイの言った通り店前の看板にはKIRINの文字。そしてオープン記念の文字。

センパイの狂気じみた視力と勘は大島渚の比ではなく、ハンドマイクではなくセンターマイクで殴りかかる勢いであり、実際多分この人は何人か殺したことがあるんじゃないかな。


店内はカウンターだけでこじんまりと感じが良く、ハクではなくハツとチュンのような顔をした若者二人と色白のカオナシのような女性がいた。ある意味大三元が成立しているカウンター。そしてカウンターの中にはジャガイモをふかしてすりつぶしたような顔の店主がいた。


ミステリー缶の悪夢が脳裏に浮かんだが俺はもはや当時のチェリ男ではない。センパイと二人で足して2,000円の所持金だ。唸る財力にモノを言わせて一見の店でお任せ注文できる立場だ。佐々木よ、俺も高尚な大人になったもんだよ。


あの夏佐々木と失われた絆を

この「絆や」で思い出すなんて何かの因果なのか。


マスターが手渡してくれたポテトサラダはあの日見た入道雲のようにフワフワなんだけど、振りかけられた黒胡椒が夕立雲を思い起こさせ、

その味はまるでゲリラ豪雨のような力強さ。また同時に頂いたカラアゲの美味さもマイクで殴られたような衝撃。


とりあえず僕の視力は超えているので星3.5です。


1周年おめでとうございます。