神様の歌合戦

思春期には誰しもが経験したであろう猛烈なる片想い。

寝ても覚めてもその人への想いは止まらず、止めようにも止まらない。

止められない状況を何とかしないと勉強や日々の生活に支障が出るかもしれない。だけど止められない。ひょっとするとこの片想いは一生続くんじゃないだろうか。どうやったら止まるんだろう。ロマンスの神様お願い、止めて!

今になって思うとそんな時期はほんの一瞬で、一生続くかもと思っていたその一瞬が過ぎれば片想いの相手なんてジャガイモにしか見えず、神頼みをなんともったいないことに使ってしまったのだろうと悔やみ、結局はそもそもそんなこともすっかり忘れ平穏の日々に戻る。

往年大ブレイクしたヒロシが先日のネタ番組で言っていた。

ヒロシです

「ヒロシさん、ファンです!一生応援します!」

「ヒロシさん、大好きです!ずっと付いていきます!」

「ヒロシさん、売れなくなっても私が支えます!」

ブレイクしていた頃のファンレターです。

みんな死んだのでしょうか。

ヒロシですヒロシですヒロシです

重度の片想いですらすぐに止まるものなのです。

ロマンスの神様にお願いするまでもなく、止まらない片想いはないのです。

こないだ自宅で大便をしていたわけだが、これが近年まれに見る絶好調。基本的に絶好調なんだけどそんな中でも絶好調。

絶好調 真冬の恋 スピードに乗って
急上昇 熱いハート とけるほど恋したい
ブレイク寸前 幸せへのゴール
私だけに White Love Song 歌ってほしいの

最高潮 二人の恋 永遠誓って
急接近 流れ星に 願いをかけよう
私の未来は あなただけのものよ
心からの Sweet Love Song 聞かせてあげるよ

早朝からトイレで広瀬香美を大熱唱するぐらい絶好調。

僕の肛門ってブレイク寸前のゲレンデなのかと痛感しながら
幸せのゴールを駆け抜けてフィニッシュ。

後処理の為にウォシュレットのリモコンスイッチを押す。

シャー

軽快な音を奏でながら適温水が優しく僕の肛門に口づけをする。
不意にディープキスをかましてくる瞬間、「あぁん」思わず声が漏れてしまう。

まだまだうぶな僕、今日も楽しい1日になりそうだ。

「今日もありがとう。」呟きながら
リモコンの(止)に手を伸ばし、愛おしく押し込む。

止まらない。

Mかと思っていたらSの面もあるんだね。
そんなにグイグイされたら新しい世界に目覚めちゃうじゃないか。

「今日もありがとう。」再度呟きながら、今度は強く(止)を押し込む。

止まらない。

Sなんてもんじゃない、ドS、いやレS、いやソSぐらいかもしれない。

適温水が僕の体内にグイグイと進入を試みる。 

いくら(止)を押し込んでも一向に止まる様子がない。
新たな世界に目覚めそうな感覚に襲われながら、わずかに残る正気の部分が蘇る。

そうだ、リモコンがダメならば本体の(止)を押せばいいんだ。

ないがな。
本体のどこにも操作ボタンがないがな。

肛門とウォシュレットが口づけを離さないように注意しながら
慎重に本体周りを振り返るが、ないがな。毎日見てるのに気付かないもんだね。操作ボタンがないがな。
 
まるでJOJO第四部のキラークイーンの第二の爆弾
シアーハートアタックと闘っている気分だ。

本体はどこだ。射程距離はどの程度だろうか。
この威力、必ず本体は近くにいる!

コウイチくんが浅はかな経験から勝手に推測し、承太郎の指示を守らずにエコーズを防御から離してしまい
「やれやれだぜ。」と承太郎がバチコーンと爆破されるまさにあのシーン。

僕の体内に侵入を繰り返す威力。
弱まる気配を見せない持続力。
本体は近くにあるはずなのに見当たらない。

しかしここで焦ってはコウイチくんと何ら変わりはない。

落ち着くんだ、承太郎はここにはいない。
いたらスタープラチナで時を止めてもらって水道栓を閉めれば済む。
しかしここには僕しかいない、スタンド使いでもない単なるクソッタレの僕が解決するしかないんだ。

ここで本体の追跡は一旦止めて、この窮地を脱することに専念することをケツイした。
肛門だけに。

かれこれ数分経過するけど本当に止まらないのね、これ。
落ち着いて考えるとこれはリモコンの電池切れに間違いないことに行き着くんですけど、しかしこんなタイミングで電池切れとかある?
トイレの神様の悪戯としか思えないわけ。
ウォシュレットを押したタイミングでは電池が残っていて、口づけを交わしている間に電池切れ。

そんな悪戯ねーわ。

リモコンを慎重に取り外し電池カバーを開ける。その間もウォシュレットはひたすら止まらない。

一旦電池をはずしてコロコロしてみて再度セッティング。

みなさんも経験があると思うけど、電池が切れた時ってこうするとほんの少し動きますよね。ここで勝利を確信し、僕の頭にはトライアンフマーチが流れ出す。

止まらない片想いはない。
止まらないウォシュレットはない。
まもなく凱旋門をくぐり勝利宣言だ。

さよならbyebye 幽遊白書のエンディング。

さよならbyebye 元気でいてね。
私から切り出したけじめだから キャッチしてよ。

僕の肛門のキャッチも限界だ。

さよならバイバイ
(止)を押し込む。

止まんねーな!
思わずバイきんぐの小峠が飛び出す。
絶望的に止まらないのだ。

電池を一回はずしてコロコロして左右入れ替えたにも関わらず

止まらないのだ。

ポルナレフの言葉を借りるならば、
「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ。『おれは電池をコロコロしたのに止まらなかった』

な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。」

ウォシュレットが片想いを超え、キングクリムゾンに並んだ瞬間である。

僕は特に何かの宗教や神様を信仰しているわけではない。もちろんスタンド使いでもない。

しかし日本人ならばわかると思うが、この状況だとあとは神頼みしかないだろう。

再度電池をはずし拝むような体制で握り締める。

このシュールな画を想像して欲しい。

おっさんが早朝の自宅トイレで広瀬香美を大合唱したのち、絶望にうちひしがれてウォシュレットを肛門で受け止めながら電池を握り締めて拝む姿。

3代目ジェイソールブラザーズの岩田君ならばそれなりにサマになるかもしれないが、肥満のおっさんがどれだけ格好つけても挽回は無理な姿。

中の電気が少しでも動くように懸命に温める。
電気ってそんなので動くのか知らないけど、冷たいよりも温かい方が直感的に動くような気がする。

肛門が既にふやけきった頃、
リモコンに電池をセットしてラストチャンスにかける。これがダメなら大声で人を呼ぶか水浸し覚悟でトイレ封鎖の選択肢しかない。

室井さん、僕のトイレ封鎖できません。
事件はトイレで起きていたのである。

さていよいよ初めておっぱいを触るかの如く、ドキドキしながら慎重かつ確実に感触を確かめるようにしっかりと(止)を押し込む。

ロマンスの神様はいないけど、トイレには神様がいた。
ゲレンデがとけるほどの恋は実ったことはないけど、肛門がふやけるほどのウォシュレットは止まった。

広瀬香美よりも植村花菜に軍配だ。

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